都市農地の意外な健闘
わが国では、1980〜90年代の急激な宅地需要の増大に呼応した制度により、都市部の農地が消滅してもやむなし、とも取れる政策が採られてきましたが、それでも農業産出額で全国の31%、総農家戸数で24%、耕地面積で27%を都市部が担っています。
そして、都市住民の90%が農地を残して欲しいと願い、70%が農作業体験をしたいと希望しているそうです。新鮮で安全な野菜を供給し、心やすらぐ緑地空間として「都市農地」に対する期待はますます高まる一方です。
平成16年のわが国の総農業産出額8兆9千億円のうち、都市的地域は2兆6千億円と、全体のおよそ3割を都市農地が占めています。三大都市圏特定市の農産物の産出額の上位品目は、一位がほうれん草、二位はねぎ、三位が日本梨となっていて、野菜・果樹に生産をシフトした“もうかる”農業を実践している結果といえます。
そのほか学童の農業体験学習や、都市住民の体験農園などで農家が指導を行うなど、農業イベントが経営に貢献していることもあるようです。
東京の練馬区では、10a当たりの粗収益が100万円程度となっているそうです。
農地・農業の活性化
このような状況の中、政府・自民党は「農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案」を採決しました。
農林水産大臣は農山漁村の活性化に関する基本的な方針を定めることになります。そして、国は都道府県又は市町村に対し、<活性化計画>に基づく事業等の実施に要する経費に充てるため、予算の範囲内で、交付金を交付することができるようになります。
地域間交流を促進するために必要な施設の円滑な整備の促進を図るため、関係権利者全員の同意の下、農業委員会の決定を経て、「農林地等に係る所有権移転等促進計画」を市町村が定めます。
この計画の公示があったときには、当事者間の契約によることなく、計画に従って所有権の移転の効果が生じるものとする、ことになっています。
また<活性化計画>で、「市民農園開設・整備に関する事業」が記載された農林漁業団体等は、市民農園整備促進法に基づく市民農園開設の認定申請に関し、簡略化された手続きによることができます。
これからの時代は技術革新と同時に、環境保護や食料安定供給の観点から、農林水産業の支援が必要です。また、農業体験をしたいと希望する人が近年大幅に増えていることもあり、今回の改正はそれに大変役立つことと思います。
農家・農業の潜在的な力を活性化
ところで、先の参議院選挙で民主党が提起した「農家に1兆円の所得補償をする」旨の公約を信じている農家がかなりあります。地方格差救済の一つなのでしょうが、財源の確保が非常に難しい政策であり、実現性には首を傾げざるを得ません。
一方民主党は、農業生産物の「完全自由化」を掲げています。完全自由化になれば安い米が入ってきます。その他の小麦、乳製品なども日本の農家は大打撃を被ります。その補償には30兆円かかるとも言われており、農業政策に大変な混乱を招く恐れがあります。
私は今の時期は、日本の食糧自給率を高めるための政策が重要であると考えます。当然のことながら、当分の間は、重要品目などの関税の引き下げには反対です。
まず農家・農業の潜在的な力をもっと高めるようにしなくてはなりません。そのために必要な課題の一つが、先に述べた「農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案」であるわけです。
日本の農業基盤を強化!
名古屋市、特に私の地盤である天白区や緑区は、まちの発展と共に農地の宅地化が進行しており、市街化区域農地の問題がいろいろ出ています。
今後も様々な観点から、農業振興と都市の共存を図り、広域連携共生・対流等推進交付金など、諸制度を拡充し、ソフト・ハード両面において国としての支援を推し進めてまいります。
近い将来、地球温暖化の影響や地球人口の爆発的な増加で、世界的な食糧危機がやってくる恐れがあります。そのときに備え、日本の農業基盤の強化を積極的に進め、農業立国ともいえるような国としての体制にする必要があると考えるからです。 |